髪に対する悩みを緩和するためにウィッグを使用する人は少なくありません。
しかし、ウィッグを使用していることが人に分かってしまったり、スタイリングがうまくいかなかったりなどの悩みが生じることもあります。
お気に入りのヘアスタイルを楽しむためにはウィッグの選び方が重要です。
この記事では、自然に見えるウィッグ選びのコツや自然な生え際の作り方、ウィッグ加工の方法を解説します。
年齢を重ねることによって、髪に対してさまざまな悩みを抱く人は少なくありません。
若い頃と比べて全体的なボリュームが少なくなって、薄毛が目立つようになってしまう人もいるでしょう。
また、髪のコシやハリも若いときとは違ってきたため、スタイリングがなかなか決まらないと悩む人もいます。
そして、年を重ねても、いつまでも若々しくありたいと思う気持ちに相反して増えてきてしまうのが白髪です。
白髪が目立ってしまうと、それだけで実際の年齢よりも年上に見られることも少なくありません。
また、頻繁に白髪染めを行うのは、手間のうえでも費用の面でも簡単なことだとはいえないでしょう。
そして、白髪の量が増えてきてしまうと、せっかくきれいに染めたとしても、またしばらくすると根元のほうから白髪が成長してきて白い色が目立つのが気になります。
さらに、白髪染めを繰り返すことによって多少なりとも受ける髪や頭皮へのダメージも心配です。
こうした悩みを解決する方法の1つにウィッグを使用することがあります。
ウィッグを上手に利用すれば、これらの悩みから解決されてスタイリングを楽しむことが可能です。また、髪の悩みなどのコンプレックスからも解放されて、気持ちも明るく前向きになれるでしょう。
ウィッグを大きく分けると、フルウィッグとハーフウィッグと部分ウィッグの3つの種類があります。
フルウィッグは、頭の全体を覆うタイプのものです。
元々の自分の毛をネットなどにまとめて入れ込んで、その上からウィッグをかぶります。
元々の自分の髪の色や髪質などに関係なく使うことができる点がメリットです。
普段ロングヘアの人がショートヘアにしたり、ショートヘアの人がロングヘアにしたり、自由にヘアスタイルを楽しむことができます。
また、髪色も変えることができるため、普段とは違う雰囲気を出すことも可能です。
フルウィッグは、人毛で作られている場合もありますし、人工毛で作られている場合もあります。
人毛の場合は、自然の髪で作られているため、カラーリングなどをして加工することも可能です。
一方、人工毛で作られている場合は、カラーリングなどを行うことはできません。
人毛は見た目が自然であること、人工毛は手入れがしやすい点がそれぞれメリットです。
部分ウィッグには様々なものがあり、その一つとしてトップカバーがあります。
部分的に薄毛が気になるところをカバーしたい人や、白髪を隠したいなど、ピンポイントで使うことが可能です。
たとえば、前髪だけを増やす、頭頂部だけを増やすなどの使い方ができます。
全体の印象をあまり変えず、普段より少し変化を付けることが可能です。
簡単に付けることができ、元々の自分の毛を活かして自然なヘアスタイルを作ることができます。
ウィッグが自然に見えるかどうかの分かれ目は、つむじの部分に人工皮膚がついているかどうかです。
人工皮膚がついているウィッグは、つむじの部分が地肌のように自然に見えます。
人工皮膚がついていれば、座ったときなどに上から人に見られたときにも、ウィッグを付けていることが分かりにくくなります。
一方、つむじの部分が見えず、全体が毛で覆われているタイプのウィッグは、不自然に見えてしまいます。
より自然に見えるものを選ぶなら、人工皮膚のついたタイプにすると良いでしょう。
人工皮膚の素材や種類は複数あり、機能などもさまざまです。
購入するときは、自然な皮膚に見えるかどうかをチェックしましょう。
ウィッグをかぶったときに、つむじの部分が盛り上がっているように見えてしまうことがあります。
この原因は、梱包したときについてしまった癖です。
この場合には、ウィッグをかぶって頭頂部にドライヤーの温風を当てましょう。
ドライヤーの熱が冷めるまで手で押さえておくと、癖はなくなる可能性が高いです。
ウィッグを手で触るのが熱い場合は、タオルなどで押さえる方法でも対応できるでしょう。
人工毛のウィッグの場合は、毛の部分が化学繊維(ファイバー)で作られている関係上、どうしても見た目が不自然に感じられるテカリが出てしまいがちです。
人工毛は自然の髪の毛に似せて作ってはいるものの、自然の髪の毛と比較するとツヤの出具合が均一であるため、不自然に見えることが少なくありません。
また、人形のように太い髪も、髪が流れることがないため不自然です。
そのため、人工毛のウィッグを使う場合は、いかにして不自然なテカリをなくしていくか、髪質をサラサラにするかがポイントです。
まず、ウィッグにシャンプーをして乾かす、を数回繰り返しましょう。
お湯だけで洗うよりもシャンプーを使って洗うほうが自然に仕上がり、テカリを抑える効果もあります。
太くて流れない髪の場合は、柔軟剤に30分ほどつけ置きをした後、すすぎをしっかりと丁寧に行って乾かすと、サラサラの状態にすることが可能です。
また、無香料の制汗剤スプレーを使う場合、ウィッグから10cmほど離れた場所から全体に吹き付けます。
その後でブラシをかけて、余分な粉を落としておきましょう。
なお、制汗剤をかけたままにしておくとウィッグが傷む原因になるため、その後にシャンプーを必ずすることが大切です。
なお、人工毛のウィッグでも、人毛のようなツヤを持ちながらもテカリを抑える加工がされているものなら、より自然に見えます。
特に部分ウィッグの場合、元々の自分の毛の生え際とウィッグの間にはっきりと段差がついてしまっていると不自然な感じがします。
明らかに元々の自分の毛の上にウィッグを乗せているように見えていないか、さまざまな方向から境目の状態を確認するようにしましょう。
部分ウィッグの場合は、元々の自分の毛との境目の植毛がどのようにされているかによって、見え方が大きく変わってきます。
この部分がしっかりと植毛されている場合は自分の髪になじみやすいですが、そうでない場合はキャップの部分が外に見えてしまっている場合も少なくありません。
境目がより自然に見えるようにするために、境目となる部分が浮かないよう工夫が施されているウィッグもあります。
部分ウィッグの場合でも、つむじがあるタイプなら、より自然に見えやすくなります。
ヘアスタイルの中でも、ワンレンのヘアスタイルは前髪の生え際と分け目がはっきりと見えてしまうため、ウィッグを選ぶときには注意が必要です。
キャップが薄い素材で作られているものを選ぶと段差ができにくく、生え際をなじませてかぶることができます。
また、分け目がまっすぐなところに植毛されていると、不自然に揃っている感じがするため、ウィッグだと気づかれてしまいがちです。
まっすぐではなく「く」の字のようにやや斜めに分け目を取るようにすると、分け目の部分に髪をかぶせやすく、生え際が目立ちにくくなります。
ウィッグの毛は下向きに植え付けられているため、オールバックのヘアスタイルのように毛を上に向けたときは、生え際が不自然になりがちです。
生え際を上手にアレンジすると、ウィッグだと気づかれにくいヘアスタイルができます。
まずは、ウィッグをマネキンにセットしましょう。
次に、襟足のカットを行います。カットした襟足は後で使うため、ダッカールなどで止めて置いておきましょう。
毛先の長さを整えてから、オールバックにしていきます。くしを使って、前髪も含めて髪全体を後ろに流していきましょう。
ただ流すだけでは元の方向に戻ってきてしまうため、適宜ダッカールで止めておくことがポイントです。
次に、ドライヤーの温風を当てて癖づけをしましょう。冷めるとそのままの形で固定されます。
続いて、先ほどカットした襟足の部分で前髪を作ります。
平らな場所に新聞紙を敷いて、同じ太さの毛束を複数作っていきましょう。
毛束にスプレーをして乾くまで待ちます。
乾いたら、ウィッグにグルーガンで貼りましょう。
貼る場所は、ウィッグの生え際よりも1cm程度前の部分です。植え付けた部分が固まったら、全体の髪の毛の長さを揃えてカットし、スプレーをして逆毛を立てます。元々の生え際を後から付けた毛束で隠すような感じにしているため、仕上がりが自然です。
あまり意識して見ている部分ではないようでも意外と人目につきやすいのが、つむじです。
つむじがあるはずの部分なのに、毛で覆われてしまっていてまったくつむじが見えない場合、違和感があるためウィッグだと人に分かってしまうことが少なくありません。
元々の自分の毛は、つむじの部分の毛の生え方が一定ではなく、地肌が見えていたり少し髪が立っていたりするところもあります。
また、ウィッグは一定方向に規則的に植毛されていることも多いため、不自然に見えることも少なくありません。
毛の流れに不規則性を出すために、つむじの部分の毛をくしで少し乱してみましょう。
根元が立ち上がった感じになって適度なボリュームアップにもなるため、より自然な感じに見えます。
また、つむじの部分が不自然に見えてしまう場合は、前髪をポンパドールにしてつむじを隠してしまう方法も効果的です。
ウィッグの髪の流れは下に向かっているため、そのままポンパドールにすると、生え際が不自然な見え方をしてしまいます。
そのため、自分の髪を少し引き出しておき、自分の髪とウィッグの髪をまとめてポンパドールにして、つむじの方向に流すようにすると、より自然です。
ロングヘアの人の場合は、髪のボリュームが多くなりがちなため、ウィッグをかぶったときにボリュームが出過ぎてしまうことが少なくありません。
また、自分の髪がウィッグの中にうまく収まらないと、でこぼこしてしまい、一部だけ浮いてしまうことがあり、見た目が不自然になりがちです。
他の人から見て違和感がないようにすっきりとウィッグを装着するためには、ウィッグの下にかぶるネットの装着方法と髪のなじませ方がポイントになります。
まずは、ネットを頭からかぶって首まで下ろし、それを生え際ギリギリのラインまで上げましょう。
髪を後ろで1つにしばり、ネットの中に自分の髪を入れ込んでいきます。
ネットの中で髪が一カ所に偏ってしまわないように、手でなじませましょう。髪の量が多い場合は、最初にしばるときに2~3つに分けて、ねじり上げたほうがおさまりは良いです。
また、髪が長い場合は、三つ編みにするとネットの中に入れやすくなります。
髪をネットに入れこんだら、余ったネットの端をしばるか、アメピンで固定すると完了です。
ネットよりも強力に中の髪を固定できるのがスイミングキャップです。
ただし、締め付けが強いため、どうしてもヘアスタイルを崩したくない場合のみに使用するほうが良いでしょう。
ハーフウィッグや部分ウィッグの場合は、元々の自分の髪と色が合っていることもとても大切なポイントです。
元々の自分の髪と明らかに違う色のウィッグを付けた場合は、その部分だけが浮いてしまって違和感があります。
たとえば、元々の髪の色が黒なのにウィッグだけ茶色だと、ウィッグであることが人にもばれてしまうでしょう。
また、色選びをするときに年齢も、ある程度は考慮したほうが良いです。
明るすぎる色合いのものを選んでしまうと、年齢と合っていない感じがして不自然に見えてしまいます。
年齢を重ねている場合で髪全体に白髪が混じっているようなときは、ウィッグも白髪を少し混ぜたようなタイプのものにすると自然です。
また、黒い色を選ぶときにも、あまりにも濃い黒を選んでしまうと、明らかにその人の髪ではないという印象を人に与えてしまいます。
落ち着いたマットな雰囲気の黒を選ぶようにすると、より自然に見せることができます。
さらに、ウィッグを選ぶときには、髪のボリュームも考慮することが大切です。
どうしてもボリュームの多いものを選んでしまいがちですが、年齢相応のボリュームを選んでおくのが無難だといえるでしょう。
ウィッグをかぶったときに自然な感じに見えるかどうかは、生え際やつむじなどが元々の自分の毛となじんでいるかが関係しています。
ウィッグで髪をボリュームアップすれば若々しく見え、おしゃれの幅を広げることができるでしょう。
より素敵に見せるために、生え際やつむじがなるべく自然に見えるように工夫してみてはいかがでしょうか。